水没したまちの変遷をみる
前号で示したように,真備町の広い範囲が水没しました.倉敷市ではこのエリアで1.8m以上水没したと考えられる2100棟について現地調査をせずに,航空写真等で一括して全壊の被害認定をしました.
このまちの変遷について,「今昔マップ」というサイトで追ってみたいと思います.まず1965年の地図(左)と現在の航空写真(右)の比較です.この時点では,まだ集落は少なく,あまり民家はありません.
続いて1981年です.すこしづつ住宅が増えているのがわかります.
最後に1998年です.この時点で井原鉄道の施設は地図に書かれています.鉄道の開業は1999年です.この時点でかなりのまちになっていますが,その後マーカーした部分などは拡大していってるのがわかります.
前号で紹介した国土交通省の 「平成30年7月豪雨における被害等の概要」では1976年以降どのように宅地化がすすんでいったのかを図化した地図が紹介されています.
まず1976年段階です.
次に1997年ではこのように宅地化が進展しています.この段階では幹線となる真備地区中央を貫く県道のバイパス化がなされています.なお,この国道486号のバイパスには大型店が並び,このこともこの地域の人口増加に影響を与えているものと考えられます.
そして2014年では,ほぼ現状まで宅地化されました.
山梨大学の秦康範先生は,真備で1995年から世帯数がどの地域で増減したかをわかりやすく図にしています.その図に,浸水2m以上の地域のラインを重ねたものが次の図です.浸水した地域が最も世帯数が増えた地域と重なっているのがわかります.
以上のように,真備のまちは1980年くらいから急激に都市化していったことがわかります.そして,1999年の井原鉄道の開業以降もハザードマップで浸水が予想されている地域に人が集まってきたことも明らかになっています.
このまちでは,1972年7月に小田川右岸が決壊及び内水氾濫という水害があり,1976年9月には内水氾濫が大規模にありました.それ以降,このまちに来られた方々はどの程度,過去の災害を知っていたのでしょうか.
鉄道ができ,駅ができるということはここが安全なまちのしるしと理解していたという方もいらっしゃったと思います.自分のまちの安全について十分な理解が重要だと痛感します.
なお,真備町の都市計画図は次のようになっています.市街化調整区域ではこれ以上,都市化が進むことがないようになっているようです.
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