市町村境界のkmlデータを入手する必要性
すでに町丁目レベルの境界線の入手については「町丁目ごとに色分けをする」で解説していますが、今回は市町村境界の入手についてです。まち歩きでは、そこまでの大きなエリアの境界は必要ないかもしれませんが、広域のまちづくりの課題があったりする場合や、地理の学習などでは、市町村境界をkmlファイルで入手できれば極めて便利ですが、残念ながら、そのようなデータを公開してくれているところはありません。そこで、本稿では、それを簡単に入手する方法について解説します。
1.国土数値情報ダウンロードサイトからシェープファイルを入手する
国土交通省の国土情報ダウンロードトの行政区域データのサイトへ行きます(サイトの文字にリンクを貼っています)。
行政区域(ポリゴン)のページの解説の次にでてくる「ダウンロードするデータの選択」で目的とする都道府県を選びます。ここでは兵庫県を選んでみます。すると兵庫県のいろいろな年次のデータが出てくるので一番最新のデータを選択してクリックするとダウンロードできます。(その前にアンケートが出てくるので答えてください)
ダウンロードしたファイルはZIPファイルです。(解凍すると(ダブルクリックだけで解凍できます)解凍したらその中にシェープファイルがあります。拡張子が「.shp」となっているファイルです。)
2.シェープファイルをQGISでkmlに変換する
シェープファイルをkmlに変換するにはQGISを使うと簡単です。無料のQGISというソフトは使いこなすのはなかなかむつかしいですが、今回のような作業をするだけなら簡単に使えます。まずここからダウンロードしてください。(最新バージョンの「QGIS 3.*.**」が表示されています。)ダウンロードしたら起動します。
QGISを開いたら「最近使用したプロジェクト」という画面があって何も表示されていません。そこに開きたいzipファイルを(解凍せずに)ドロップします。レイヤーの「追加」→「座標変換の選択」という画面で確認を促されるので日本の地図が出ていたら「OK」を押します。すると地図が開きます。
このまま保存しても良いのですが、実はこのデータは極めて精緻にできている(精緻すぎる)ので、データ量を少なくしても良い場合は、「QGIS-簡素化」という方法でデータ量を減らすことができます。後述するように、地理院地図のサーバーの処理速度があまり大きくなさそうなので、量の多いデータは開くのに相当時間がかかりますので、実用上、許容できる程度まで縮減しておくことをおすすめします。
上のタブ「レイヤ」→「名前を付けて保存」でkmlファイルを保存できます。
以上でkmlファイルが入手できました。この作業で入手した「Hyogo prf.kml」をここからダウンロードできます。Google Earthか地理院地図で開いてみましょう。
以上です。自分の必要とする都道府県で確認してください。
3.目的の市町村のみのポリゴンにする
以上で都道府県別には入手できたのですが、これをさらに絞って作成したい場合は、地理院地図の作図機能の編集でできます。「ツール」→「作図・ファイル」→「編集」でポリゴンがアクティブになるので不要なポリゴンを消してください。
実は、地理院地図のサーバーの能力上の問題なのかどうかわかりませんが、上記でやった場合、時間がかかりすぎてしまい、エラーになる場合があります。そこで、私は、kmlの命令文から必要な市町村のポリゴンだけを抽出して、他は削除するという方法でやっています。kmlファイルは「メモ帳」で開けるので、直接書き換えます。対象の市町村をメモ帳の「検索」で検索し、<Placemark>から</Placemark>までをコピーします。その他の情報は、初めの部分と終わりの部分を残して、すべて削除します。そのために、最初のブロックと、終わりのブロックだけにしたBase.kmlを作成しておくと便利です(リンクからBase.kmlをダウンロードできます)。書き換えたファイルは拡張子をkmlとして別の名前を付けて保存します。下記を参考にしてください。
(以上、2023.07.10.追記 2023.11.22.再修正)
近畿の府県の市町村境界ポリゴンkmlファイル
兵庫県 Hyogo Prf.kml
大阪府 Osaka Prf.kml
京都府 Kyoto Prf.kml
奈良県 Nara prf.kml
和歌山県 Wakayama prf.kml
滋賀県 Shiga prf.kml