ハザードマップなどの事前の調査が終わったら,いよいよ,地図を持ってまちを歩きましょう.(持ち歩き用の地図の作り方ここから

 まずは,自宅から避難所までを歩いてみましょう.そのときに,必ず,複数の避難所を候補に挙げて歩いてください.大きな災害では,目的とする避難所の周辺が火災で使えないということも考えられます.

①災害に脆弱なところ
 第1のチェックポイントは,災害の際に,危険な場所を見つけておくことです.阪神・淡路大震災では,倒壊した住宅が道をふさぎ,まったく通行できなくなったところがありました.道路周辺の状況をよく確認しましょう.道路が広くても,必ずしも安全とは言えません.一つの例を挙げてみます.次の写真を見てください.

(阪神・淡路大震災 被害調査報告書(建設コンサルタント協会))

 このように,電柱も,場合によっては通行の妨げになります.「地震後のまちのすがた(例)」でイメージをつかみましょう.狭い道路,ブロック塀,老朽家屋,など,歩きながら周辺をよく観察しましょう.ため池なども,古いため池は要チェックです.斜面の擁壁にクラックが入っていないか,膨れたりしていないか,水が変なところから流れ出していないかなども注意が必要です.そして,気が付いたことを書き込んでいきましょう.

②高低を見る
 まちを歩く際に,地面の高低には注意しましょう.水は低い方に流れるので,豪雨の時に浸水して歩けない可能性があるところはどこかをチェックし書き込みましょう.高低については,気になるところがあれば,あとで地理院地図で調べてみることも重要です.

③過去に浸水したり崩れた場所を知る
 古くからそこに住んでいる人から話を聞いて,以前浸水したり崩れたりした場所を確認して書き込みましょう.

④災害時に役に立ちそうなところを見つけておく
 危険なところばかりでなく,災害時に役に立ちそうなところを確認して書き込んでいきましょう.例えばコンビニは災害時に役に立ちます.そのコンビニが「災害時帰宅困難者支援」の協定を結んでいたりします.事前に,災害時にどのような支援がありそうかについて,オーナーに聞いておくといいでしょう.コンビニでは公衆無線LAN「セブンスポット」など災害時にフリーで使えるWiFiが利用できる場合があります.また,「公衆電話」は非常に役に立ちます.公衆電話は緊急時につながりやすいうえに,電話線と一緒に電気も供給してあるので,停電でも使えることがあります.また,災害対応の公衆電話は,コインがなくても使えます.
「停電でも公衆電話はつながる」)  事前に緊急時の使い方を調べておけば役に立ちます.公衆電話の場所は「NTT西日本の場合「公衆電話設置場所検索」から検索できます.
また「00000JAPAN」というフリーのWiFiが開放される場所もあるので,知っておくと便利です.
 井戸水の場所や,プールやため池など,水のありかを知っておくことも役に立ちます.これらを見つけたら書き込んでいきましょう.
 また,まちには,ライフスポットとして「耐震貯水槽」なども整備されているところがあります.そのような場所が近くにあるかどうか確認しておきましょう.
 目的の避難所に到着したら,もし可能なら,そこにある備蓄物資などを先生か施設管理者に聞いておきましょう.何を持って避難すればよいかの目安になります.もし,地図作りをまちのみんなでする場合は,その際に,備蓄品の確認だけでなく,災害時に使えそうなもの,例えば,燃料や食器なども確認しておきましょう.

⑤道路の性格を知っておく
 南海地震が起こった時に緊急輸送道路になると決められている道路があります.その道路は緊急車両以外の通行ができなくなります.事前に調べて地図に書き込んでおきましょう.そして,その道路が使えない時にどのように道路を使うかを地図上に書き込んでおきましょう.どの路線が緊急輸送道路かについては「重ねるハザードマップ」の「道路防災情報」でも検索できます.

⑥みんなで歩く
 まちを歩くときは,もしできるのなら,なるべく多くの人と一緒に歩きましょう.人間の目は,あるものを見たら他のものを見れなくなります.ひとりの目では限界があります.家族やまちの人たちと一緒に,わいわい言いながら歩くことで,たくさんの情報が得られます.一人一人が作った地図を最終的にみんなの分を合成して,1枚にして共有しましょう.

⑦ハザードマップの情報を書き加える
 歩いて書き込んだ地図を整理したら,ハザードマップの情報を書き加えて,地図を完成させましょう.そして,その地図を見ながら,家族で,あるいはまちの人たちと,災害時にどのように行動するかを話し合いましょう.
 地図は,見やすい,わかりやすいということが重要です.どのように見やすい,わかりやすい地図を作るかを考えて作りましょう.(「わが家のぼうさいマップを作ろう」

 なお,これを授業で行うための「テキスト」は「自分で作る防災マップのテキスト」から入手できます.

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 → 持ち歩く地図を作る → 地理院マップシートで作図する 
 → マップシートとハザードを重ねる → マップシートで写真を表示する
 → マップシートで説明文も表示させる 

→ Google Mapとリンクして使う
→ 手書きのマップをデジタル化する
→ わが家のぼうさいマップを作ろう