日本を襲う災害の種類

 日本ではさまざまな災害が襲います.消防庁で発行している消防白書に,1948年以降の災害の統計が公表されています.次の表は,1948年~2011年までの64年間のうち,10人以上の死者・行方不明者が出た災害の分類です.

日本におけるハザード別集計(1948年~2011年)(消防白書および理科年表から作成)

 この表を見ると,一番多いのが台風や豪雨の62件(死者・行方不明16,571人)で全136件の46%を占めます.一方死者数が多いのが地震(津波含む)で件数は16件ですが,死者数は地震が30,248人と豪雨災害の1.8倍となっています.そして次に多い災害は「火災」です.日本ではよく怖いものの代表として「地震・雷・火事・おやじ」と言いますが,この表はなんとなくこの言葉とも整合しているように思います.ただし,昨今「おやじ」さんの地位低下が激しいことは言うまでもありませんが・・

日本は世界的にも台風の多い地域

 日本に地震が多い理由は,プレート境界が日本の近くにあるためですね.同様に,豪雨や台風が多い理由も,地球の中の日本の位置に大いに関係しています.

 次の図を見てください.この図は,1985年から2005年までの20年間で発生した台風などの熱帯低気圧の経路をすべて示したものです.

      ウィキペディアコモンズ:https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/2/23/Global_tropical_cyclone_tracks-edit2.jpg

 熱帯低気圧は,日本や東南アジアでは「台風」とよび,インドやオーストラリアでは「サイクロン」,そしてアメリカでは「ハリケーン」と,呼び名は違いますが,すべて同じ熱帯低気圧が発達したものです.この図をよく見ると,まず,赤道付近には熱帯低気圧が発生していないということがわかります.熱帯低気圧は,暖められた海水から立ち上る湿った暖かい上昇気流をエネルギーに発生します.赤道付近の暖かい海域は,そういう意味ではその条件に合うのですが,不思議と赤道付近では台風は発生せず,赤道を少し離れて,少し緯度が高くなったところで発生しています.例えば,日本にくる台風の場合は,フィリピンの東側の海域で発生し,成長しながら北上し,日本にやってくるのです.

 これらのコースでよく通る場所は,色が黄色くなって密集しています.大きく分けて5つの海域です.図の東側から,メキシコ湾,中米西岸,東南アジア,インド洋,オーストラリア北部海域です.南米やアフリカ西岸にはほとんど発生していません.この図をよく見ると,これらのコースのほとんどは,海洋の部分ですが,日本~台湾~フィリピンにかけた部分だけが,きわめて人口の多い地域を通過しています.次回は,まず,この台風についてお話ししましょう.

 → 台風が生まれる季節と場所

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