地域の防災を考えるうえで,地図はきわめて有効です.そして,最近,国土地理院の地図は使える機能が豊富になっています.ここでは,私の住んでいる地域の事例から,地図の使い方を学んでいきます.
大規模盛土造成地マップ
地震において,盛土が被害を受けることがあります.東日本大震災でも仙台市では住宅地が被害を受けました.このホームページでも,「地震による宅地被害3 安全な宅地にする」において解説をしています.
最近は,多くの自治体が大規模盛土についての情報を開示しています.神戸市でも以下のサイトから大規模盛土の場所をダウンロードできます.
「大規模盛土造成地の変動予測調査結果(宅地耐震化推進事業)」
下図は,そこで公表されている私の住んでいる西神中央西部の盛土図の一部です.
地理院地図の情報を活用する
次に地理院地図の当該の場所を開いてみます.
地理院地図を開くと,左上に「地図」というアイコンがあるのでそこをクリックしてみましょう.すると下図のような情報リストが開きます.
この「年代別の写真」というのをクリックして「1961年~69年」を開いたら下記の図が出てきます.
西神ニュータウンができる前は,このあたりは丘陵地だったことがわかります.そして写真の+マーク下に斜めに白っぽい線が走っていますが,これは,山の中の田畑です.すなわちこの白っぽい部分は,周囲より低い土地でした.
地図を重ねあわせる
この古い航空写真と,大規模盛土の図を重ねてみましょう.これには少しテクニックが必要になります.重ねあわせをするには,レイヤーを扱える画像ソフトが必要になります(「画像の重ねあわせ GIMP2を活用する」参照).レイヤーを一部透過にすると下の図も見えますので,それを活用して大きさを合わせていきます.するとこのような図になります.
こうして見ると,盛土は,航空写真の白っぽい部分と重なっていることがわかります. 周辺の高いところを削って 丘陵地の中の相対的に低い田畑の部分を盛り土したことがわかりますね.
今昔マップ
次に今昔マップというサイトを見てみましょう.京阪神都市圏を選んでから,左の年次を「1967年~1970年」を選択し,地図の場所を当該の場所にします.すると次図のような画面になります.左が古い地図,右が現在です.
この古い地図から標高を読み取ると当時の地面の高さがわかります.そして今の地図の高さを調べます.今の高さは地理院地図の調べたい点で右クリックしたら左下に標高が出ます.現在と過去の標高の差からこの地図の樫野台(六)という漢字のあたりで約10mの盛土があったことがそのことからわかりました.
重ねるハザードマップ
最近は重ねるハザードマップで大規模盛土造成地が表示できるようになりました。
その場所を開いたら、「すべての情報から選択」→「土地の特徴・成り立ち」→「大規模盛土造成地」で表示できます。
“地図で防災 1 昔の地図や写真から造成地を知る” に対して3件のコメントがあります。