冬になると、猛烈な北風とともに大雪になります。その理由を知っておくことで、対応もしやすくなります。
ここでは、冬の気象条件の主役である「冬将軍」と「JPCZ」について説明します。
【西高東低と冬将軍】
冬の代表的な気圧配置は日本の西に高気圧、日本の東に低気圧がくる「西高東低」というパターンですね。
たとえば、下図は2026年2月8日9時の予想天気図です。

このように西に高気圧がある場合、高気圧の風は右回りなので、日本に向かっては北から南に風が吹きます。
一方、低気圧は左回りの風が吹くので、そこからも北から南に風が吹きます。ということで、下図のように、この気圧配置の場合冬将軍が登場し、北から南に猛烈な風を吹かせます。この北風が水蒸気を多く含んだ日本海を通ってくることで雪を大量に運んできます。
また、この風で発達した大波により海底の砂が大量に打ち上げられ砂丘が発達します。日本海側の海岸の砂丘はこの北風が作っています。

【JPCZ】
この北風は、日本海にやってくる前に、実はある特徴的な動きをします。朝鮮半島北部には長白山脈という2000m以上の標高の山々(最高峰:白頭山2,744m)がある一帯があり、その山で風が2方向に分かれて日本海に南下し、南で合流するという動きをします。(ベースの地図は国土地理院が「陰影起伏図(全球版)」として提供している自分で自由に標高色を変えられる地図で、色を私がアレンジしたものです。図にリンクを貼っています。)
この二つの風は、南側の日本海上で合流してぶつかります。これを「収束」といっていますが、そうすると、風がぶつかる(収束する)ことで、上昇気流が生まれ、急速に雪雲が発達します。もともと対馬海流は暖かいので湿気を多くふくんでいて、雲を形成しやすいですが、それが上昇気流によって雪雲が急激に形成され、日本海沿岸を襲うことで大雪となります。なぜ上昇気流になるのかというと、二つの空気がぶつかることで、満員電車で押し出されるように、逃げ場を失った空気が、唯一行ける空間である上空へ登っていくためです。
このいったん二手に分かれ、また収束する収束帯のことを「日本海寒帯気団収束帯 (Japan sea Polar airmass Convergence Zone)」といい、その頭文字をとって「JPCZ」と呼ばれていて、最近、ニュースでもよく登場するようになってきました。
さきほど紹介した天気図の時刻での風の動きの動画を「earth」というサイトで見ることができます。収束した風が太い線になって大山あたりに到達しているのがよくわかります。
この二つの風がぶつかり合って収束することによる雪雲の形成についてもう少し詳しく説明します。
収束帯での雪雲の形成過程は次のように説明できます。
①ぶつかり合うことで上昇気流が発生する
⇒②上昇気流の内部では空気中の水蒸気が冷やされて水滴になりそれがどんどん大きくなる運動を繰り返えすことで雲が発達する
すなわち、この運動のエネルギー源は、上昇気流と空気中の水蒸気(気体の水分子)が液体の水分子になるときの潜熱です。暖かい海流である対馬気流には水蒸気が多く含まれていて、それが上昇気流で高い場所に移って行くと気温が低いので、空気中の水蒸気(すなわち気体)が液体の水分子にかわります。(これを相転移といいます)その時、1グラム当たり600カロリーという大きな熱(凝結熱 あるいは潜熱)を発生させます。これにより空気塊の温度が上がり、そのことでさらに上昇が続きます。(この水はさらに氷に変わりますが、水が氷に相転移する際にはさらに80カロリーが発生します) まわりの水蒸気からの供給があればこの運動は継続し、巨大な雪雲が形成されることになります。
また、対馬海流の海水温は10~15度程度なのに比べて、冬の大気は冷たくて上部ではマイナス30度にもなっていることから、その温度差が上昇気流の上昇を助長します。
しかもJPCZ特有のこの雲のぶつかり合いは、収束帯(ぶつかっている場所)全体で、すなわち、さきほど紹介したearthの映像の太い線の部分すべてで生じているので、極めて急速に巨大な雪雲が形成され続けるということになります。収束した風が太い線になって一か所に集中して流れ込んでいくことで、「冬の線状降水帯」のような現象が発生していることがわかります。
なお、JPCZの上陸地点は、紹介した動画では大山あたりに到達していますが、必ずここに来るというのではなく、そのときの気圧配置に対応して、山陰から東北南部あたりまでの広い範囲のどこかに到達します。この予報が出されたら対象地域は大雪への警戒が必要です。

