ハザードマップと実際の被害

 今回の被災地のハザードマップは,災害以前にすでに倉敷市から発表されていました.次図がそれですが,これと実際の被害を見比べてみると,ほとんど同じであることがわかります.

倉敷市ハザードマップ

 被災した市民はこのハザードマップを知っていたのでしょうか?山陽新聞のアンケート調査では,ハザードマップの存在を知っていた人は75%いましたが,内容を理解していた人は24%にとどまりました.また,知らなかったという人は25%で,30歳代以下は半数がハザードマップを知りませんでした.

避難のきっかけ

 では,被災した人の避難のきっかけはどのような状況だったのでしょうか?山陽新聞のアンケートでは,1位から順に「川の水位が上がってきたから」「携帯電話のエリアメール」「雨が激しかったから」の順になっており,次が「家の浸水が始まった」「防災行政無線など」「近所からの声掛け」「家族からの電話やメール」と続き「テレビラジオなどのマスコミ災害情報」「SNSなどのインターネット災害情報」となっています.マスコミ情報がかなり低いこと,近所や親せきの声掛けが有効なことなどがわかります.

過去に水害があったことを知っていたか?

 このアンケートでは,この地域に過去に水害があったことを知っていたかということについても聞いています.「知っていたが備えていなかった」68%,「知っておらず備えもしていなかった」16%,「知っており備えていた」13%,「知らなかったが備えていた」3%となっています.「知っていたが備えていなかった」と「ハザードマップを見たことがあるが理解できていない」という率が似ていますが,住民の災害への理解の程度に関連性があるように思います.

避難しなかった理由

 避難しなかった人へのアンケート結果では,避難しなかった理由として1位が「これまで災害を経験したことがなかったから」で60%を超え,次に「2階に逃げれば大丈夫だと思ったから」が50%です.「外の方が危険だと思ったから」が2割近くあり,その後,「道路が渋滞して車が動かせなかったから」,「パニックになりどうすればよいかわからなかったから」,「車などの移動手段がなかったから」,「病気などで体を動かすことが困難だから」が1割以下で続きます.

 このように見てみると,被災者の多くは,その地域への災害の危険度を十分知らずに,少ない情報で行動していたことがわかります.

 アンケート結果はYahoo!ニュース「【岡山から伝えたい】真備住民の84%「水害に備えず」 第三者に「救助された」42%、地域防災力の低さ露呈【再配信】」から

 アンケート結果は国土交通省「住民自らの行動に結びつく水害・土砂災害ハザード・リスク情報共有プロジェクト 第1回全体会議 資料2-2」にも紹介があります.

「平成30年豪雨災害 真備町の水害から見えてくるもの」へ

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