日本の震度階

 震度というのは,その場所の揺れ方です.各国によって定義が異なりますが,日本の震度は,阪神・淡路大震災を経て計器により計測された震度,すなわち「計測震度」に変更になりました.
 阪神・淡路大震災までは,たとえば震度7は「木造家屋の30%が倒壊」という定義でした.そのため,震度を決めるために気象庁の職員が被災した地域を歩いて判定する必要があり,震度7の「激震の帯」を発表したのは半月以上経過した2 月7 日になってしまいました.

 このようなことから,阪神・淡路大震災以降,震度は,その地点での揺れを「計測震度計」(次の写真)で自動的に算定したものに変更されました.気象庁の地震速報は,全国約690箇所の気象庁の地震計・震度計に加え、国立研究開発法人 防災科学技術研究所の地震観測網(全国約1,000箇所)を利用して、1分30秒以内に発信するという世界でも最高レベルのシステムが運用されています.
 

震度計  右の計器で観測して,左の計器で震度を計算して表示し通信する

震度階級

 震度の階級は,阪神・淡路大震災後の1996 年10月1 日に次表のように10 段階に定められました.

震度と揺れの強さの関係

 震度が1 増えたらどれくらい揺れの規模が異なるのかを説明するのは単純ではありません.なぜなら,震度は,地震の揺れが建物や構造物にどのように影響を与えるのかを主眼に定めていますので,周期特性によって定義が異なってくるのです.東日本大震災と阪神・淡路大震災での地震の揺れの特性は異なっていて,住宅がたくさん倒壊した阪神・淡路大震災の場合は,周期1秒での揺れの要素が大きかったことがわかっています.すなわち,周期1秒くらいの揺れは木造住宅を倒壊させる力が強いということです.

 次の図は,気象庁が作成した震度ごとの周期と加速度の関係ですが,同じ加速度でも周期が違えば震度が異なることがわかります.(この図は対数グラフになっているので注意して下さい.)
 この図において,たとえば木造家屋に影響が大きいとされる周期1 秒で加速度の値を見てみましょう.周期が1秒(すなわち10 のゼロ乗)のところを見ますと約100 ガル(ガルは加速度を表す単位 Gal:cm/sec2 地球上の標準的な重力は980 ガル)以上で震度5強,約200 ガル以上で震度6弱,約350 ガル以上で震度6強,約600 ガル以上で震度7 という数字になっています.すなわち,震度5強と6弱で加速度は倍違います.また,6弱と7では加速度は3倍違います. 震度計の中では,この複雑な計算を一瞬にして計算し,震度を表示します.
 このように日本の震度階は,木造建築や低層建築物に対して影響が大きい周期1秒付近の地震波の影響を大きく評価して計算されるように定められているのです.

震度・周期・加速度の関係(気象庁)

 参考:「震度の活用と震度階級の変遷等に関する参考資料」(気象庁)

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