地震に強い住まい方とは?

前号で,自分の家を耐震化することの重要性や,そのための方法については簡単に紹介しました.しかし,せっかく家が地震に強くても,家具などの下敷きになってしまってはいけません.家の中を安全にするということは住まいの耐震化の中でも重要なことです.

これについては,まず,自分の家の住まい方について「もし,今,大きな地震が起こったら・・?」とシミュレーションしてみることが重要です.夜,寝ているとき,家族団らんの時,家事の最中,子供のお昼寝中・・など,さまざな状況を考えてみましょう.その中でもっとも安全を確保したいという状況を中心に改善策を立てていきます.家具の上の物が落ちてこないか,大きな家具が倒れてこないか,倒れる向きはどちらか,いざという時に逃げ場所はあるか,などです.このような点検をしたうえで,必要な家具の固定をすることが重要になります.

家具の固定については,様々な方法がありますが,住宅の状況によって適切な方法をとらないと安全性が確保されないので注意が必要です.特に,遠くからくる南海トラフでの地震では,揺れが1分以上続くと考えられます.長い時間揺れ続けると,突っ張り棒のようなものや,間違った固定方法では,揺れているうちにはずれてしまうという懸念もあります.

たいていの住宅では,固定できる柱や横木が表装材で隠れている場合が多いです.例えば次の図の場合は,表装の下に下地材が隠れています(点線で表示).この場合は,その下地の部材を見つけ出して金具を固定しなければ,せっかく固定しても揺れの最中ではずれてしまうということになりかねません.

 図-1 表装材の下の部材を探し出して固定した例   (すまいるネット提供)

 また,冷蔵庫などの大型家具にはそれにあった取付が必要になります.特に,冷蔵庫は,通風を確保する必要があるため,壁にぴったりとつけられないので,ベルトで固定する方法が取られます.

     冷蔵庫の固定事例 (すまいるねっと提供)

 また,次の写真のように,最近の冷蔵庫ではベルト固定ができるようになっているものもありますが,古いものでは,取り付けが難しいものもあります.

このように固定作業は,なかなか素人では難しいので,自分で行わずに業者に頼みたいという人向けに,神戸市や芦屋市,姫路市など市町村レベルで補助制度を持っている場合がありますので調べてください.

家具固定への支援制度

いろいろな自治体で家具固定の支援制度があります.たとえば,神戸市では,一般的な,個人向けと地域団体単位向けの家具固定専門員派遣の2種類があります.個人向けとしては,65歳以上の高齢者,あるいは,小学生以下の子供,あるいは障がい者がいる家庭では,工事費の半分を補助してくれます(上限:1万円).もう一つの地域団体向けの家具固定専門員派遣制度は,地域の自治会やマンション管理組合など地域団体で5世帯以上が申し込むことで,65歳以上の高齢者,あるいは,小学生以下の子供,あるいは障がい者がいる家庭では,2家具までが無料(3家具目から実費負担)となっています.

この団体への支援制度を利用して家具の固定をおこなった地域の代表の方にお話をうかがってみました.お話をうかがったのは,「狩場台ふれあいのまちづくり協議会」です.ここでは,平成23年度と28年度の2回にわたって家具固定を団体で実施されたとのことです.2回あわせて90戸が家具の固定をおこないましたが,その取り組み以外に,副次的な効果もあったとのことです.すなわち,この提案を受けて,自分の家の住まい方の安全点検ということが,多くの家で行われたようです.例えば,「家を建ててから時間が経過し,子供が家を出たりして,家族構成も変わっている.寝る部屋には,この際,家具を置かないようにしてしまおう」とか,今ある家具の方向や配置を変えることで安全性を高めよう,など,家具の固定でなくてもできることに取り組んだ家庭がでてきたとのことでした.

このような制度は予算上の枠というものがあるので,枠の範囲で補助をしてくれます.特に地域団体向けの家具固定専門員派遣制度は平成28年度はほぼ満額執行したということです.年度の早めに相談しておくほうがいいでしょう.