熊本地震の概要

2016年4月14日21時26分に熊本県で発生した地震は,震源の深さ11km,マグニチュード6.5で,最大震度7の大きな地震でしたが,実はそれは「前震」であって,4月16日午前1時25分の「本震」とされるさらに大きな地震(マグニチュード7.3)が発生し,被害が一気に拡大しました.この地震は,余震活動が非常に活発で,その後1か月間の余震が全部で2500回を超え,震度5弱以上の大きな揺れが18回もあるというものでした.地震が直接の原因で亡くなった人50人,震災が原因となり亡くなった人212人,住宅の全壊が8,673棟、半壊が34,726棟、一部破損が162,479棟となっています.また,度重なる余震で多くの人が避難所に身を寄せ,一時は18万人を超える避難者がいました.経済被害は4兆6千億円と中越地震を上回る規模となりました.

熊本地震は「活断層帯」での地震

この地震の発生源は,日奈久断層帯および布田川断層帯という活断層帯での地震で,4月14日の「前震」は前者に沿って,16日の「本震」は後者に沿って発生したのではないかと言われています.

実は,この二つの活断層は,研究者の間では知られていて,地震発生前の活動度(地震の起こりやすさを示す程度)も日奈久断層帯は「高い」グループに,布田川断層帯は「やや高い」グループに分類されていました.

この熊本地震では,地表に断層が顔を出したところがあります.図は,益城町堂園での地表断層の写真です.

熊本地震で現れた地表断層(中川和之撮影)
麦の列とあぜが断層線の向こうでは右にずれている

地表断層については,阪神・淡路大震災を起こした「兵庫県南部地震」でも淡路島の野島平林地区で地表に現れました.図は,淡路島平林地区での写真(気象庁ホームページから)です.

この二つの写真を比べてみると,大きな違いに気が付きます.熊本の写真では,断層の向こう側の麦畑が右側にずれています.しかし,麦の高さはほとんど変わりません.一方,淡路島の写真では,田んぼのあぜ道が右にずれるとともに,上に大きく持ち上がっているのがわかります.

この地表断層の姿で,このあたりの地下でどのような力が加わっているのかを推し量ることができます.日本列島は,プレートの活動によって大きな力が加わっています.その力はプレート境界だけでなく日本列島全体に及んでいます.淡路島平林のように向こう側が持ち上がっているのは,このあたりに圧縮力が働いていることを示しています.一方,熊本の方は,そのような持ち上がりがありません.GPSの測定結果では,断層の向こう側が若干低くなったとの報告もあります.実は,今回の熊本地震の場所は「別府-島原地溝帯」に含まれています.「地溝帯」とは,その地域が周りより低くなっている帯状の場所です.ここが地溝帯となっている原因は,まだよくわかっていませんが,徐々に拡大していることがGPSの観測データなどから報告されています.すなわち,熊本地震の現場では,淡路島から六甲山にかけてかかっている力とはまったく逆の「引っ張る力」がかかっているのではないかと考えられるのです.