ライフスポット-1 耐震性貯水槽

ライフスポット

ライフラインを強くし,災害時でも機能を保てるようにすることは重要ですが,それでも,どうしてもライフラインの機能が停止してしまうことも考えておかなければなりません.そのために,「ライン」が途絶えても「スポット」として機能する生活圏を確立しておくことが重要です.この「ライフスポット」という言葉は,神戸市の震災からの復興を検討する中で生まれた言葉です. たとえば,「備蓄」です.これは,自治体に任せるだけでは限界があります.各自が可能な備蓄をしておくことが重要です.また,トイレの水を確保するには,雨水の利用や,井戸水,風呂やプールの水を抜かずにおいておく,というようなこともいざという時の役に立ちます.このように,生活圏をいざという時にはライフラインが途絶えても人々が生活できるようにしておくための試みが阪神・淡路大震災以降,いろいろな形で行われています.その例をいくつか紹介しましょう.

耐震性貯水槽

みなさんは耐震性緊急貯水槽(耐震貯水槽あるいは震災対策用緊急貯水槽などの言い方もあります)というものを知っていますか?これは,阪神・淡路大震災のつらい経験から生まれた新しいアイデアの一つです.この大きなタンクは,水道の配水管の一部がこのように膨らんだものと考えてください.この管の中を常に配水池から運んできたフレッシュな水道水が通っています.そして,地震を感知すると,バルブが自動的に締まり,上流から来た水道水はこの太い管を通らずにバイパスのルートを通り,この太い管の中には水が溜まったままで保存されます.その中の水を利用できる給水栓が取り付けられていますので,しばらくはそこにある水を利用することができるようになっています.写真は,神戸市の西神南ニュータウンにある耐震貯水槽で,容量は500㎥,一人1日3リットルを7日間利用するとして,2.4 万人分に相当します.付近の住民にとって頼りになるライフスポットです.

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