世界の1割以上が日本での地震

 1995年の阪神・淡路大震災のあとも日本では2000年鳥取県西部地震,2001年芸予地震,2003年十勝沖地震,2004年新潟県中越地震,2007年能登半島地震と新潟県中越沖地震,2008年岩手宮城内陸地震,2011年東日本大震災と大きな地震が続きました.2018年には,大阪府北部地震,北海道胆振東部地震と二つも起こりました.このように日本は,地震が本当に多い国です.

 もちろん地震は世界中で起こっています.世界で起こる地震のうち,マグニチュードという地震の大きさを計る単位で6以上の大きな地震は,1年間に平均約152回起こっています.一方,日本では,10年間の年間平均回数は約20回でした.ということは,世界の地震の1割以上が日本で起こっているということになります.(気象庁「世界や日本周辺ではどのくらい地震が起こっているのですか?」

世界での地震が多い地域

 地震の多い国は日本だけではありません.この地図を見てください.

地震が起こる場所(気象庁)

 地震が起こっている地点を赤い点で示しています.世界で地震の多い地域は,例えば,ヒマラヤ山麓から地中海にかけて,あるいは,南北アメリカ大陸の西海岸などに帯のように集中して存在することがわかります.そして,とりわけ,日本を含む太平洋の周囲は非常に地震が集中しているということが見て取れます.
 地震の分布がこのようになっているのは,地球の内部が不動のものではなく,実は,かなり規則的に動いているということが原因になっているということがわかってきてい ます.
 どのように動いているかというと,地球の球体の表面近くの10km~200kmの深さ(これでも地球のごく表層部分です)の層を「プレート」と呼んでいますが,このプレートが,一方の端では新しく生まれ出し,そして一方の端に移動して沈み込むという運動を続けているのです.プレートはいくつかのブロックに分かれていて,その境界がだいたい地震の多い地域になっているのです.
 すなわち,先ほどの地図の地震の多い赤くプロットされた帯で囲まれた部分が,ほぼ一つのプレートとなっています.地図には,各々のプレートに付けられた名前が表示されています.

日本周辺のプレート

 日本の周辺のプレートは次の模式図のようになっています.太平洋プレート,フィリピン海プレートが陸のプレートといわれる北米プレートやユーラシアプレートの下に毎年数センチの速度でもぐりこんでいっています.

日本付近のプレートの模式図(気象庁)

 
 アメリカ西海岸で発生した太平洋プレートは,地球のほぼ半分を覆うほど大きいのです.(「太平洋プレートは大きい」)それは長い時間をかけて日本の東側に到達し沈み込んでいきます.そのため沈み込む場所は深くなるので,「日本海溝」となっています.次図はそのイメージです.

プレート運動の模式図(気象庁)

 
 そして,このようなプレートの動きは滑らかに行われるのではなく,ひずみが累積していき,ときたま,たまったひずみを解消しようとする動きが発生し,地震を起こします. 2011年の東日本大震災は,日本海溝の西側に沈み込んでいるプ レート境界で起きたものでした.
 このようなことが原因で,プレート境界では地震が非常に周期的に起こります.その繰り返しの周期は比較的短く,日本付近では100年前後の間に1度くらいの頻度で起こります.

 一方,このプレートが押す力は,陸の方にも伝わっていますので,日本列島全体が,その力で押しつけられており,内陸部でも,その力により,ときどきプレート内部が割れ,地震が発生します.プレート内部が,割れた部分は断層となりますが,同じような場所が活動することが多く,そのような場所を活断層と言います.ただ,この活断層で起こる頻度は,千年から数千年に1度というレベルで,プレート境界での地震よりもかなり頻度が少なくなります.また,地震の規模(マグニチュード)もプレート境界よりは小さいのですが,断層が近くの場合,被害は大きくなります.1995年の阪神・淡路大震災は,この都市直下の活断層による地震でした.

→ 海溝のプレート境界で起きる地震と内陸の地震

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