台風が生まれる季節と場所

四季を生む奇跡の自転軸の傾き

地球が太陽の周りを1年かけてまわっているときに,地球は自転し続けています.そして,その自転する軸が,太陽を回る軌道と直角でなく約23度傾いています.その結果,地球では,四季の変化を楽しむことができるのです.自転軸の傾きは惑星によってまちまちで,もしこれが,水星(ほぼ0度)や木星(3度),金星(177度.木星とさかさまの方向に3度)のような傾きなら,季節変化はほとんど感じられないということになります.

台風シーズンは夏から秋

地球の回転軸が太陽の方に傾いているときが夏です.例えば,北半球が太陽に向かって近くなるように傾いているときは,太陽の光が地面にあたる角度が直角に近くなり,その分,太陽エネルギーを効率的に受けます.また,1日のうちの太陽が現れている時間,すなわち昼の時間も長くなります.そのため,陸地も,海も,空気も暖められるのです.北回帰線に太陽がもっとも直角にあたる夏至の頃が,北半球では夏の最盛期と言えるでしょうが,海の水が暖まるのに時間がかかるので,海水温が高くなるのは1,2か月ずれてきます.その結果,台風のシーズンは,夏至のころの6月から始まり11月までと,後ろにずれています.
なぜ,海水温の高い季節に台風が発生するかというと,台風は,暖められた海水から立ち上る水蒸気をエネルギーとしているからです.暖められた海面の水蒸気は,どんどん上に昇っていきますが,高くなるほどまわりの気温が低いので,水蒸気を含む空気に変化が起こります.空気中に含むことができる水蒸気の量は温度によって決まっていて,温度が低いとその中に含むことができる水蒸気の量は少なくなります.そうすると,その水蒸気の一部は,空気中に漂っている気体のままでは存在することができなくなり,液体,すなわち水に変化します.水蒸気から水に変化するときに「凝結熱」という熱が放出されます.気化熱は液体から気体になるときに熱を奪うのですが,凝結熱は反対に熱を出すのです.この凝結熱は,ものすごく大きくて1グラム当たり600カロリーです.水1グラムを0度から1度に上げる熱量は1カロリーですから,水蒸気が水に相変化するときの熱は,1gの水蒸気の凝結で,6gの水を0度から100度にできるほど,ものすごい熱量が発生します.そのため水蒸気が凝結すると,それを含む空気の塊は,温度が上がるのでまた,どんどん上に昇るというように,上昇気流の渦巻きを巨大化していきます.このようにして発達していくのが台風です.まるで海上の水蒸気を食べて巨大化しているようなイメージです.台風のエネルギーは,中心気圧が950hPa,暴風域の半径300kmという中くらいのもので10の17乗ジュールの桁になると言われていて,広島型原爆の100個分に相当します.
ただし,台風は,海面から水蒸気が補給されないと発達できません.すなわち,海水温が低くなったり,陸上を通過したりしたら,発達できなくなり,やがて消滅します.

平成30年台風25号の衛星画像

台風の発生場所

台風は,熱帯低気圧のうち,最大風速がある値(日本の場合,17.2m/秒)以上に発達したもので,赤道より北の東経100度から180度までのものをいいますが,実際には,かなりきまった場所で発生しています.デジタル台風というサイトでは,発生場所をプロットさせる機能があります.図は,1951年から2013年までの1650個の台風の発生場所をプロットさせてみたものです. これを見ると南北は北緯10度から20度の間に,東西は東経110度から150度くらいまでにかなり集中していることがわかります.
こう見てみると,台風の発生する場所は,同じような緯度の太平洋の中で,かなり西に偏っているということがわかります.その理由は,赤道近くの風にあります.赤道より少し北の太平洋には,東から西に向いて貿易風という東風が吹いています.そのため,夏にはちょうどマリアナ諸島からフィリピンあたりに温かい海水が吹き寄せられて海水の温度が高くなり,台風が発生する条件が整うからです.このことが,日本に台風がよく来る原因となっています.ちょうどこのあたりに発生した台風が北上して日本にやってくるのです.

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