豪雨到来

令和2年の梅雨は,大荒れとなりました.7月4日6時の気圧配置は下図です.梅雨前線が九州から四国本州南岸に沿って停滞しています.南西から暖かい湿った空気が前線に向かって大量に吹き込まれている状態です.

気象協会

 このような状態が長く続き,結局,7月の末まで,東北地方にまで広範囲に被害が及び,日本全国の各地で豪雨災害が発生しました.この災害による死者は82人,行方不明4人(熊本県では死者65人,行方不明2人),浸水した家屋は約16,000棟,全半壊家屋は851棟となりました.(令和2年7月豪雨による被害状況について 政府災害対策本部)

球磨村渡地区での氾濫災害

球磨川沿いの球磨村地区では,大きな災害となりました.多くの家屋が被害を受けるとともに,特別養護老人ホーム「千寿園」が水没して入居者14人が亡くなるという悲惨なことになりました.ここで起こった災害について雨量や川の水位,地形などで見ていきたいと思います.

当日の雨量

当日の人吉の雨量は下図のようでした.前日7月3日から豪雨が降り続いています.そして4日10時まで雨が降り続きました.(12時以降のデータは欠測となっています)
なお,この雨量はその時間の正時での雨量です.すなわち,「6時」の場合は5時~6時までの雨量のことですので注意して下さい.(→「7月豪雨のデータをエクセルでグラフ化する」

渡地区の場所

渡地区は人吉の西隣,球磨川が盆地から山の中に入っていく入り口にあります.南には球磨川本流,北からは「小川」という支流が流れてきています.

もう少し近づいてみた航空写真が下図です.(Google Map)

川沿いに民家が結構あるのがわかります.

この場所での水位上昇については,現地の人の証言やシミュレーション実験などで,4日朝6時ごろには氾濫が始まっており,7時以降は10時まで,1時間に1m以上,水位が上がって行ったと考えられます.(NHK「熊本 球磨川の氾濫 合流部で水位が急上昇し避難難しく」

現地の地形を詳しく見る

 なぜ,このような急激な水位上昇になってのでしょうか?地理院地図の「色別標高図」でその場所を着色し,3D表示してみたのが下図です.

 このように渡地区のすぐ北にも支流があるだけでなく,盆地の水が全部渡地区に集まってくる構造をしているのがわかりますね.
※上図のリンクをひらいてドラッグしながら回転したり,マウスホイルで拡大したりできます.また,高さの倍率も自由に変更できます.
なお,上図をクリックすると地理院地図の3Dにとべますが,ブラウザによっては作動しないことがあります.開けない場合WebGLファイルが開けるブラウザに変更して見てください.

 以上見てきたように,大雨が降ったら,水は時間差を伴って集まってきて,ボトルネックとなった,もっとも厳しい場所が大きな被害を受けた事例であったことがわかります.災害が起こる前に,自分のいる場所の地形的な脆弱性を理解しておくことが重要です.

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