平成30年西日本豪雨での篠原台の災害-4

緊急支援対策チームを設置

 この様な中で行政からも支援策が打たれました.一つは,神戸市役所内の庁内の様々な部局の合同による緊急対策チームの設置です.

 チームの構成として,7月20日付でリーダー(灘区担当部長) に行財政局市税徴収担当部長の大崎 克英氏が兼務発令 され,サブリーダーに灘区まちづくり課長の藤田 真右氏が発令され,リーダーのもと,危機管理室、灘区役所、灘区社会福祉協議会、建設局、環境局、消防局、などが連携して被災者に対応にするチームが結成されました. 設置場所は,灘区役所4階会議室で,平成30年7月20日(金曜)から設置され,各日,午前9時から午後7時まで,土曜・日曜・祝日も開設されました.(平成30年8月17日で閉鎖。灘区役所等の通常組織に引き継ぎ)

 このように被災者と直接向き合う合同チームの設置は,心細い被災者にとって大きな安心になるものでした.

被災者生活再建支援法と災害救助法

 公助の重要な手法である被災者生活再建支援法は,当初,適用要件に満たないのではないかと懸念されていました.というのは,「全壊が10戸以上」というのが適用上の基準であるためです.しかし,最終的に神戸市の全壊家屋が12戸となり,生活再建支援法の適用が決まりました.このことにより,再建資金の給付や貸し付けなど再建にむけたさまざまな支援を受けることができるようになりました.

 一方,災害救助法は,神戸市では適用されないことになりました.これの適用には,災害救助法施行令第1条第1項第4号の適用(すなわち,平成30年台風第7号及び前線等に伴う大雨による災害により、多数の者が生命又は身体に危害を受け、又は受けるおそれが生じており、継続的に救助を必要としている)との判断で,兵庫県の豊岡市, 篠山市, 朝来市, 宍粟市, 赤穂郡上郡町,美方郡香美町(以上7月5日),姫路市, 西脇市, 丹波市, 多可郡多可町,佐用郡佐用町(以上7月6日),養父市, たつの市, 神崎郡市川町, 神崎郡神河町(以上7月7日)に適用されたにもかかわらず,あれだけの大きな被害を受けた篠原台などには適用されませんでした(7月8日内閣府 平成30年台風第7号及び前線等に伴う大雨による災害にかかる災害救助法の適用について【第7報】).

 このように適用外になった理由は,直接聞いたわけではないのでうかがい知ることはできませんが,一説には,特別警報の適用区域が救助法の対象とされたということも風聞されています.もし,そうならあきらかにおかしいと思います.なぜなら,警報は発令後の予想であって,実際の災害による被害とは明らかに異なるからです.災害救助法は被災者の支援にとって重要な法律であり,今後のために,今回の判断がどうであったのかについてきっちり検証していただきたいと思っています.

→ 平成30年西日本豪雨での篠原台の災害-1

→ 平成30年西日本豪雨での篠原台の災害-2

→ 平成30年西日本豪雨での篠原台の災害-3

→ 平成30年西日本豪雨での篠原台の災害-5

→ 篠原台研究補論:阪神間モダニズムと住宅地開発

 

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