2019年19号台風で栃木県佐野市で秋山川が決壊しました.地元の下野新聞で掲載された写真を見ると,海陸橋のすぐ北側が決壊したことがわかります.
 ところが,パスコが公開した衛星写真では下図のようになっていて,浸水区域は,決壊場所から南に離れた渡良瀬川沿いに大きく広がっています.(2019年台風19号豪雨災害(PASCO)

 これはなぜでしょうか?そこで,決壊場所周辺を地理院地図で解析することにします.
 (佐野の決壊場所のGeoJSONファイルをここからダウンロードできます.ダウンロード(右クリックしてコンテンツを保存)したら,ファイルを地理院地図にドロップするだけでその場所が開きます)
 地理院地図には左の「地図」アイコンを開き,その中の「標高・土地の凸凹」に「自分で作る色別標高図」という機能があります.そこで,この決壊場所から渡良瀬川付近までの標高をこの場所の高さに合うように細かく区切ってみて表示させてみます.まず,その凡例を自分で作成します.まず決壊場所の高さを調べます.+マークの場所の高さが,地図の下にある矢印のマークを押すと表示されます(下図の左下を見てください).決壊場所付近は標高約25m.次に渡良瀬川近くの標高を見ますと,だいたい20mくらいであることがわかりました.そこで私は,下図のように16mから30mまでを2mきざみで作ってみました.色分けは簡単にできますが,このように分けたファイルkizami.txtをダウンロードできますので,自分で作れない人は,このファイルを「自分で作る色別標高図」の文字の下の一番左のボタンを押して読み込んでも再現できます.
 このように,標高を見える化したことで,決壊場所から,渡良瀬川までどんどん低くなっていて,洪水はどんどん南下して,浸水域が決壊場所から南に大きく広がったことがわかります.(上の写真では秋山川の東には浸水域が広がっていませんが,これは,秋山川の堤防が高く,浸水を止めているためです.)洪水は,決壊場所だけでなく,それよりも低いところに広範囲に影響することを肝に銘じなければなりません.

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