コロナで学ぶエクセル 3 世界のデータを見る
1.世界のデータからグラフを作る
今回は,世界のデータを見てみましょう.現在,さまざまなところで,データの整理と提供をしてくれていますが,(「新型コロナのデータを見る」)ここではOur World in Dataというサイトから,一括してデータをダウンロードします.Our World in Dataのリンクを開いたら,左下に一括してダウンロードできるサイトが紹介されていますのでこのdaily updated COVID-19 datasetをクリックします.
その画面からowid-covid-data.csvを選び,クリックします.
開いたページのDownloadを押します.すべて文字列だけの画面になりますので,ここの画面のどこかで右クリックしてcsvファイルを「保存」します.このファイルをエクセルで開きます.(このデータは文字化けしないのでそのまま開いても大丈夫です.もし文字化けするようでしたら第1回目に説明した要領で,データ→テキストファイルで開いてください)
膨大なデータがある中から,イタリアのデータを抽出します.B-1セルのlocationと書いたセルをクリックしてください.次に「データ」→「フィルター」と押します.このフィルター機能は非常に便利ですので覚えておきましょう.
フィルターを押すと一番上の行に▽印が出ます.locationの▽を押します.いったん,すべて選択のチェックを外してからItalyだけをチェックしてOKを押します.
イタリアだけの表になりました.なお#####となっているのは枠の幅が狭いためなので,枠を広げてやると中身が見えます.
イタリアでは2月22日から陽性者が急増していますので,この日からの new cases の数字をコピーして別のタブへ貼り付けます.日付も同様にコピーします.このように長い行の場合,表示→ウインドウズ枠の固定 で上の行を固定すると一番上の文字が消えないのでわかりやすいです.試してください.新しいタブのページで下図のように作表できましたか?
対象となる範囲を選択反転させて,挿入→折れ線グラフ でグラフが作成できます.あわせて対数グラフも作ってみましょう.(対数グラフの作り方は「コロナで学ぶエクセル 1 累計のグラフを作る」を参照)
2.再生産数
ここで対数グラフの意味を考えます.一人の人が感染させる人数を再生産数といいます.
まず一人がα人に感染させ,そのα人が(α×α)人に感染させ,・・・と順次,感染が拡大しn回目には<αのn乗>の人が感染します.(注:再生産数は学術論文では通常Rで表わすようですが,本稿はそういうレベルでないのであえてαとしています.なお,再生産数と拡大の概念については門信一郎先生の「再生産数 R の物理的意味と決定」が参考になります.)
ここで,αが1なら,感染者の数はずっと同じなので,治っていく数と同数なら平衡状態です.もしαが1.5なら15回目には437人,2.0なら15回目には3万2千人,αが3.0なら15回目には最初一人が感染しただけで1400万人となります.αの違いで大きく変わることがわかります.すなわち,【再生産数=一人の人が感染させる数字】を少しでも下げれば,その後の感染者数は大きく違ってくるということです.再生産数は,社会のあり方にも大きくかかわってきます.今,各国が取り組んでいるのはまさにこのことです.
αのn乗を対数に取ると,指数曲線が,αの傾きの直線にかわります.
y=αのn乗のグラフのリニアと対数グラフの両方を下図に示します.リニアのグラフではαの2と1.5は小さすぎてわかりませんが,対数にすると大きな数字のものも同時に表わせますし,指数関数的な動きを直線化できることでαの動きをより可視化できることになるのです.
3.演習
それでは人口100万人あたりの累計値(Total Cases per million)でグラフを作ってみましょう.
Italy, Spain,United States,それにJapanの4か国のデータを重ねて,Linearと対数の両方のグラフを作ってください.時間の開始は同じく2月22日とします.
どうですか?下図のようにできましたか?
こうして重ねると日本は絶対値は小さいですが,増加のいきおいはまだ下がっていないようですね.
このグラフとエクセルデータを参考までに提供します.下記からダウンロードできます.
https://bosailiteracy.org/wp-content/uploads/2020/04/owid-covid-data.xlsx