第1回 台湾防災イントロダクション 佐々木孝子

 こんにちは、佐々木孝子と申します。現在の所属は早稲田大学です。専門は農村計画学で、台湾の「社区営造(参加型まちづくり)」を研究しています。まちづくりに欠かせない「人と人のつながり」をコミュニティ防災から広げていけないかと思い、「蘇格拉底法(ソクラテス式)防災ワークショップ」を設計しました。台湾に行く度に、機会を見つけては小学校等でワークショップを実施させてもらっています。

 さて、台湾は、旅行だけでなく、留学先としても人気のある国で、日本と台湾は近しい関係にあるとよく言われます。まずは、その近しさの一端をデータで見てみようと思います。

 表1は、日本人と台湾人のお互いに対する意識のアンケート調査の結果の一部です。台湾の方が若干愛が勝っているようですが、まあ相思相愛といえる数字がでています。

 図1は、産業構造です。これもよく似ていて、どちらも第一次産業の割合が非常に低いです。食物自給率は、日本が約40%なのに対して、台湾は約36%で、いずれもカロリーベースではあるものの、「食在台湾」の将来が危ぶまれる状況です。

 自然条件も似ています。どちらも環太平洋造山帯にあって、豊かな自然に恵まれる一方、台風や地震等の災害が多い国です。そこで、台湾の災害の規模や変化を俯瞰してみるために、図2のようなグラフを作成しました。

 このグラフを見ると、自然災害で大きな人的被害を受けた期間が、グラフの左右に分かれて存在することがわかります。戦後データを取り始めてから1978年までは毎年のようにあった地震や台風による被害が、1980年代から1990年代まで目に見えて減少したのは、制度やインフラの整備によるところが大きいと考えられます。一方、1999年以降は、再び被害が増える傾向にあり、また、921大地震、八八水害、台湾南部地震等一つの災害に被害が集中しています。現行の制度やインフラでは支えきれない規模の災害が起こるようになっているのです。

このような傾向は日本も同じで(図3)、日本が阪神・淡路大震災(1995)、台湾で921大地震(1999)という未曽有の大災害を続けて経験したこともあり、情報の共有や共同研究がますます盛んになっています。

 しかし日本と台湾は、文化も社会的特徴も違う。似た者同士に見えても、そこにはそれぞれ異なる理屈が働いています。その理屈を読み解いて違いを理解することでまた視野が広がり、交流が深まるのではないか、というのが研究を始めた動機の一つでした。

 というわけで、「フェローの部屋」では、外国人である私の目を通して台湾の防災事情を紹介し、防災や減災について考えていきたいと思います。

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